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和歌山日記:冬至の日とオーストラリアの女子高生

みかん収穫の手伝いに行っている田辺の原農園さんに、オーストラリアからの修学旅行生が2人来た。農家にホームステイし、農業体験をする予定とのこと。

中高一貫の彼らの学校では、中1の時点で外国語をひとつ選択して中高を通じて学ぶらしい。選択肢はドイツ語、イタリア語、そして日本語。なんだか面白い組み合わせ。今回来日していた2人はもちろん日本語学習組である。日本語は楽しいそうだ。

“I like the Japanese characters Hiragana. They are beautiful.”

修学旅行は2週間で、東京〜長野〜京都と来て田辺での農家民泊でフィニッシュ。そこからさらに1ヶ月残り、東京の渋谷周辺でホームステイする生徒も何人かいるらしい。なかなかな内容だ。

原農園では約40種類の柑橘を育てている。前の晩、原さんは10種類以上の柑橘を食べさせると彼女達に約束したらしいが、さてさて。

当日は大寒波で初雪。温州みかん収穫の時期だったが、みかんの上にまだ雪が残っており、ベテランのおばちゃん達も作業を断念するほどの冷たさだった。

そんな日に居合わせた、オーストラリアの高校生女子2人。農作業も難しく、まずは原さんの畑をぐるっと見学ということになった。通訳を頼まれた私も同行する。彼女達のカメラはiPhoneとGo Pro。時代を感じさせる。

原さんが八朔や文旦など、在来種やアジア由来の品種の説明をしていく。旬のものはそのまま木から取って試食させてくれる。

安藤柑、紀州みかんなどと来て、柚。木がとげだらけで収穫が大変なことや、冬至がもうすぐで、その日は実をお風呂に入れる話などをする。

私も逐語訳をしていく。英語で冬至は”winter solatice”。しかし彼女達、どうもしっくりきていない。「一年で一番陽が短い日」などと言い換えて再度説明しても、腑に落ちていない様子だ。

ここでようやく思い当たった。

そうだ。
オーストラリアは南半球。
日本は北半球。
当然、夏至と冬至も逆である。
日本での冬至の日は、オーストラリアでは夏至の日なのだ。そう言うと、ようやく彼女達もわかった顔をした。そして、その日だけの習慣があることを面白がった。

ああ、やはり世界は広い。
文化も認識もすべては風土に根ざしている。
どれだけ世界が均質になってきていると言ったところで、違うものは違うのだ。どれだけ言葉が通じようとも。それをお互い承知した時、初めて成り立つものがある。

大切なことを思い出させてくれた日であった。

岡本

 

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