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世界より:3月8日と幼稚園

先日カンボジアに出張に行った折、首都プノンペンで宿のまわりを散歩していて、面白い名前の保育園を見つけた。その名も「3月8日幼稚園」。


なぜこの名前なのか聞くことはできなかったが、3月8日がカンボジアにとって意味を持つ日かどうかは調べることができる。日本貿易振興機構(JETRO)が毎年、各国の祝祭日をまとめている。

カンボジアの3月8日は、国際女性の日。

日本ではあまり祝われないようだが(少なくとも私は記憶がない)、国によってはこの「国際女性の日」はかなり重要である。モンゴルもそのような国のひとつだ。

「マルティン・ナイム(3の8)おめでとう」と言い合い、男性から女性にバラを贈る。ケーキでも良い。アクセサリーでも。つまり女性が喜ぶものをプレゼントし、できれば夜は食事からのディスコやカラオケでお祝い。これが、私の職場における3月8日であった。

元をたどれば20世紀初頭、女性の社会参加を呼びかけた運動としてアメリカから始まったこの祝日。旧ソ連においては、帝政ロシアが倒れた二月革命の日でもある(1917年3月8日)。革命を主導した女性労働者を称え、女性解放を訴える記念日として重要視されてきたようだ。1966年にはソ連における正式な祝日にもなり、現在まで祝われている。むろん、当初の政治性はすでにない。

1920年代から1992年まで社会主義国としてソ連の影響を大きく受けていたモンゴルにおいても同様の歩みがあり、現在は純粋に女性の祭日である。

国連は1975年、3月8日を正式に「国際女性の日」と定めた。加盟国に対して、女性の平等な社会参加の環境を整備するよう呼びかける日だそうだ。なぜ日本ではほとんど認知されていないのか、不思議である。ジェンダー格差で144ヶ国中114位という、非常に不名誉なランクにある日本では、根付くにはまだまだ時間がかかるのだろうか。(世界経済フォーラムが出した “The Global Gender Gap Report 2017” による)

ちなみにモンゴルは53位である。女性が働きやすい職場環境で、子連れ出勤も当たり前のことだ。日本よりもずっと子育てしやすく、女性が暮らしやすい国だと感じる。カンボジアは99位で、こちらも日本より上だ。

このプノンペンの幼稚園は、子どもの生み手である女性を讃えてこの名前にしたのだろうか?真相はわからないが、いわゆる発展途上国と言われる国であっても、日本よりずっと進んでいることはいくつもあるものである。

岡本

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