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世界より:オマーンの外国人労働者達

南インドのチェンナイからオマーン行きの飛行機に乗った。乗客はほとんどがインド人男性。びっくりするような性比だ。

ドーハやドバイもインド人労働者が多いから、オマーンもそうなのかなぁと漠然と思っていたら果たしてそうだった。

チェンナイから3時間程で、首都のマスカットに着く。私達のようにオン・アライバルでのビザ申請に向かう乗客はわずか。インド人達は皆、ずらっと「事前申請ビザ」に並ぶ。カウンターの横には、オマーンの労働省の窓口が併設されていた。英語名は “Ministry of Manpower”。ストレートだ。

宿泊先のオーナーによると、オマーンの人口430万人のうち、半分が外国人。その75%がインド人だそうだ。単純計算、約161万人のインド人がオマーンにいることになる。パキスタン人やバングラデシュ人がそれに続く。イスラムコミュニティは強い。

もちろん貿易などビジネスの人達もいるが、大多数は肉体労働の労働者。冬のマスカットは朝夕涼しく過ごしやすいが、午後は気温が上がり、日差しも強い。そんな時間帯に屋外で働いているのは、すべて外国人労働者である。真夏は50℃に届く日もあるらしい。暑い国出身の彼らには耐えられるのだろうか。

オマーンを出る時、空港にいた乗客はまた、ほとんどが労働者の男性達だった。電光掲示板に表示されている出発便の行き先は、中東と南アジアが半々。デリー、ムンバイ、ダッカ、アーメダバード。

皆、ビニールでぐるぐる巻きにした大きな箱を携えている。

家電だろうか。

すべての荷物に名前、電話番号と、マスカットからの経由地と最終行き先を大きく書いた紙を貼っている。ムンバイから南のマドゥライ、デリーから北のアムリトサル。あの人とあの人は同じ村出身なのだな。助け合っている。皆搭乗手続きに慣れておらず、時間がかかっている。

チェックインカウンターの男性は、インド人に見えるが労働者に高圧的だ。英語でしか話さず、わからない労働者達はおどおどしている。質問に “Yes, sir” と答える。インドの身分社会が、そのまま外国に持ち出されている。

無事飛行機に乗り込んだ男性達は皆とても陽気で賑やかで、嬉しそうで、楽しそうだった。故郷で英気を養って、またオマーンへ戻ってくるのだろう。ムンバイまで2時間半のフライト。彼らにとって、オマーンは近くて遠い。

ドーハでもドバイでもアブダビでも、同様のことは起こっているのだろう。東京のコンビニ店員が外国人留学生で成り立っているように、もはやこれらの国は外国人労働者なしにはやっていけない。しかし乗り継ぎや観光客も多いこれらの空港では、私は外国人労働者のことなど考えてもみなかった。経由地にならない、小さな国オマーン。終着地だからこそ、見えた現実であった。

岡本

読みもの

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